あなたのことを、考えている人がいる

3月に始まった突然の長期休校に戸惑う家庭は多かったのではないでしょうか。給食で栄養を取る子どもがいる貧困世帯のために、新しいサポートを始めた人がいます。「小豆島 子ども・若者支援機構」では、いわゆる「子ども食堂」の役割を果たすおにぎりセットの宅配をしています。今回、代表の岡広美さんにお話を伺いました。

ーー今回、おにぎりをご家庭に届ける、というサポートを始めた経緯を教えてください。

ここ一年くらいになりますが、「食を伴ったサードプレイスの提供」として「ご飯会」を週に1回ほど開催してきました。一般的に「子ども食堂」と言われているイメージです。誰もが自分らしくいられる居場所を運営している中で、みんなで遊んで、自然とみんなでご飯を食べるようになって。このご飯会が家計的に苦しいご家庭や、一人で留守番している子どもの食事のサポートになっていました。

そんな中、2月末に政府が3月からの長期休校を発表。月末というのは、どこの家庭でもお金が無くなるタイミングです。そんな時、子どもを怒鳴る親御さんをお見かけして…。「恨むんだったら安倍総理を恨んでよ!」と言っているのを聞いて、危機感を感じました。こんな風に、突然の長期休校で追い詰められる家庭があるんじゃないか。親御さんが追い詰められて、お子さんを虐待する、そういった負の連鎖を予防する対策が必要なんじゃないか。そういった思いからおにぎりの宅配を考えました。

おにぎりは複数の味を用意している

本当はお弁当を配りたかったのですが、資金的にも、マンパワー的にも力不足でおにぎりになりました。この一カ月半で、なんとか6回お届けできました。ありがたいことに、香川県社会福祉協議会からお米の寄付が入ったことも大きかったです。地元のボランティアの方たちも沢山協力してくれました。いろんな方のご協力でやりくりできていて、本当に感謝しています。

ーーどれくらいのご家庭にお届けしているんですか?

最初は1回あたり15世帯だったんですが、今は20世帯ほどに広がっています。ボランティアの方が増えたことで、それまで縁が無かったエリアでも「あそこの子が家にずっと籠ってるみたいだから、持って行ってほしい」といった声が届いたり、民間の子ども支援団体から相談が集まるようになって、お届け先が広がりましたね。

ーー現在の課題についてお聞かせください。

先のお米の寄付も底をつき、今は団体への寄付からなんとか捻出していますが、苦しい状況です。また、ボランティアの方がシルバー世代の方が多いことや、家に高齢者がいる方もいて、続けていいのか…とみなさんも心配し始めていますね。新型コロナウイルスにまつわる状況は常に変化しているので、毎回悩みながら、綱渡りのようにやっています。今後の継続的なボランティアの維持も課題の一つですね。

「子どもの為なら」と集まるボランティア

ーーおにぎりを届ける中で、活動に広がりがありましたか?

あるご家庭の子どもが、「上の学校には行きたくないから、制服はいらない」と言っていたんです。家の経済状況を感じてそう言ったのか、実際のところはわかりません。なんとか制服の提供ができたらと悩んでいたら、今回の宅食で出会ったご家庭から、「使える制服が出てきたよ」と連絡が入ったんです。もしその子が「やっぱり進学したい」って言った時に、「制服あるよ!」って言えるようになったんです。誰かの思いが繋がってできるようになった、それがうれしくって。

おにぎりの宅食を始めた当時は「いるかどうかわからないけど…」と持って行ったお宅もありましたが、多くの方に喜んでいただいて、リピートや広がりが生まれました。制服の話のように、思いがけないうれしいこともありましたし。人の繋がりがまた次の繋がりになり、「あなたのことを考えている人がいるんだよ」と誰かの思いを届けることができて。不安もあったけど、やってみて良かったですね。

おにぎりを持っていくと、最初はしかめっ面だった子がにっこり笑顔で受け取ってくれるようになったり、関係性を構築できてきた、と感じることもあります。この一食を楽しみにしてくれている子どもがいる、この一食によって週に一回でも親御さんに「ご飯を作らなくても大丈夫」とほっとした時間を作れるかもしれない。これからについては状況をみながらになりますが、できるだけ続けていきたいですね。(写真提供:岡さん)

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岡さんの団体「小豆島 子ども・若者支援機構 ホッとスペース ショウz’」は様々な形での支援・協力によって運営していて、下記口座にて寄付を募っています。こちらに集まった寄付は必要なご家庭に届くおにぎりや、団体の運営サポートになります。お米(白米)や小豆島の学校制服の寄付も受け付けています。ボランティアについては、下記電話番号にお問い合わせください。様々な形で、未来ある子どもたちのサポートが可能です。
<寄付受付口座>
百十四銀行 土庄支店(普通)0728476
一般社団法人 小豆島子ども・若者支援機構

写真中央が岡さんです(写真提供:岡さん)

岡 広美
1961年大阪市生まれ。香川県小豆島在住。東京でアパレルのパタンナーとして働いていたが、子育てを経て福祉と心理に興味を持ち、45歳で大学へ。2009年に社会福祉士の資格を取得し、母子生活支援施設や学校でのソーシャルワーカーとして子どものサポートに従事した後、2018年に子ども・若者支援の一般社団法人を立ち上げる。夫の地元である小豆島には2015年にUターン。

一般社団法人 小豆島 子ども・若者支援機構 ホッとスペース ショウz’
香川県小豆郡小豆島町草壁本町135-10
090-5332-9171、0879-629-957
パンフレットFacebook

小林繭子

瀬戸内通信社 編集長/ライター、コピーライター:愛知県出身。12年ほど東京で暮らし、2016年に小豆島、2019年に高松へと移り住む。ライティング、IT企業営業事務、ミヤモト惣菜店広報&BARタイム担当など、気持ちの赴くままいろいろ。豊島美術館、李禹煥美術館が好き。

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