つくるふたり おいしい往復書簡 二通目:サニーレタス焼き

一通目:サニーレタスの記事はこちら

香川さん、はじめまして。京都で料理家をしている庄本です。サニーレタス、受け取りました。段ボールを開けると、サニーレタスがひとつ、丁寧に入れられていました。手にとってみると、葉っぱがふわりと広がり、すごく大きい!きっと畑ではのんびりと葉を広げて太陽の光を浴びていたんだろうな、と想像できました。

山口の実家では、祖母が畑で野菜を作っていて、私はその野菜で育ちました。サニーレタスも作っています。葉が細かく踊るような形をしていて、葉先にかけて濃い紅色になる。不思議なレタスもあるんだなと子どもながらに思った記憶があります。

進学をきっかけに京都へ移り住んでから、祖母は定期的に野菜を送ってくれます。いろんな野菜が届きますが、中でもレタス類の使い方について、学生の頃はよく悩みました。添え物やサラダのイメージが強く、調理の方法がいまいち分からない。また、レタスに火を通すと苦くなったり、食感や色が悪くなっておいしさが半減してしまうことがあって、中々好きになれませんでした。困っているうちにしおれてしまい、後ろめたさを感じることも多かったです。祖母に電話をした時に「チシャ(サニーレタス)が出来とるけど、いらんかね?」と言われても「チシャはええわあ、他の送って」と断ることもありました。

でも今は、サニーレタスが届くのが楽しみにもなっています。それは、レタスが主役になる、火を通してもおいしくなる方法を知ったから。  私がよく作るのは「サニーレタス焼き」。お好み焼きのように作ります。「レタスでお好み焼きが出来るの?!」とよく驚かれますが、これがおいしいんです!

サニーレタス焼き
・サニーレタス: 80g(大4、5枚)
・小麦粉: 40g(大さじ4杯くらい)
・昆布出汁: 大さじ3(水や鰹出汁、豆乳でも)
・卵: 1個

まず、洗ったサニーレタスを5〜8mm程度に包丁で切っていきます。細すぎると焼くときに火が通りやすく、レタスの食感が消えてしまうので注意です。また、太すぎるとまとまりにくくなるので、これくらいがおすすめです。サニーレタスは片手でふんわりと押さえ、包丁を入れていきましょう。洗ったときの水が残りすぎていると、焼くときにべちゃっとしてしまいます。レタスを切った後、ざるなどで休ませる程度に水を切ります。

休ませたレタスをボウルに入れ、小麦粉を振りまぶし、箸でレタス全体に粉を優しく絡めます。そこへ昆布だしをかけたあと、卵を割り入れます。空気を入れるようにざっくり混ぜ、卵は簡単に絡むくらいで大丈夫。

フライパンを弱火にかけ、大さじ2の油(分量外)を敷き、温まったらレタスの生地を入れていきます。さっと丸に整えたら蓋をして、2分半。蓋をあけてフライパンを揺すってみて、ひと塊になって動いたらひっくり返していい合図。ひっくり返したら、フライ返しで上から抑える必要はありません。蓋をして2分半焼くと出来上がりです。今回は瀬戸内のレモンで作った自家製ポン酢でいただきました。 醤油でもおいしいですよ。

このサニーレタス焼きは、長芋を足したり、小麦粉が多すぎるとレタスのふんわり具合が分かりにくくなってしまいます。つなぎは最小限の小麦粉と卵に留めました。焼き時間は、レタスのシャキシャキとした食感が残るように短めに。サニーレタスの味と食感を残しているので、次の日に食べてもおいしいです。  

料理は出来上がりの着地点をしっかり決めることで、調理の工程が変わります。また、野菜の特徴を知り、それを活かそうとするとおいしさが一層際立つ。私の持っていた苦手意識は、レタスが問題なのではなく、私自身がサニーレタスをどう食べたいか、どうおいしいところを引き出すのかをよく考えられていなかったのだと、今は思います。

今回、香川さんが「自分が大事に育てた娘をお嫁に出す心境です」と言われていました。届いた段ボールの梱包やお手紙、レタスの元気な様子から、その心がとても伝わってきます。野菜の声を聞いて料理をすることは、生産者さんが野菜にかけた愛情を、食べる人まで届ける行為なんだ、と改めて思いました。

「この子がめいいっぱい輝く料理を」そう思いながら作ってみました。是非、食べてみてください。
(文章:庄本彩美、写真: 五十嵐邦之、編集:小林繭子)

三通目:オクラの記事はこちら
 

庄本彩美
1988年生まれ、山口県出身。料理家、「円卓」主宰。看護師の経験を経て、料理への関心を深める。京都で「料理から季節を感じて暮らす」をコンセプトに、お弁当作成やケータリング、味噌作りなど手しごとの会を行う。野菜の力を引き出すような料理を心がけています。京都府在住。
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五十嵐 邦之
1989年新潟生まれ。フォトグラファー。京都造形芸術大学卒業。京都の制作会社にて約千組の結婚式を撮影。 2018年よりフリーで活動。現在は広告、WEBを中心に写真と映像で幅広く活動中。
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小林繭子

瀬戸内通信社 編集長/ライター、コピーライター:愛知県出身。12年ほど東京で暮らし、2016年に小豆島、2019年に高松へと移り住む。ライティング、IT企業営業事務、ミヤモト惣菜店広報&BARタイム担当など、気持ちの赴くままいろいろ。豊島美術館、李禹煥美術館が好き。

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