30万円の「おいしい」を集めて、この街のお店を守る

高松のテキーラバーAnejo(アネホ)が「30万のお惣菜屋」を4月中旬に企画。自店含めた5つの飲食店のお惣菜を、長期保存できるパックにしてAnejoで限定販売した。「ホタルイカの冷製アヒージョ」や「牛ほほ肉のワインみそ煮込み」など、自宅にいながらプロの味を楽しめるメニューが揃い、好評に。この企画では各お店の負担にならないよう、Anejo店主のHIDETOUさんが商品を全て買い取って宣伝、販売、配送まで請け負ったという。HIDETOUさんにお話をお聞きしました。

ーー今回の企画の詳細を教えてください。

うどん職人さぬき麺之介瀬戸内味処 活akariLAST GRILLとうちの店、合計5つの飲食店が参加しました。各飲食店には4万円分のお料理と1万円分のお食事券を準備してもらい、合計5万円で僕が買い取りました。全て売れなかったとしても、お店側には5万円の売り上げが担保される形です。現在、飲食店はテイクアウト対応をせざるを得ない状況ですが、通常営業より利益率が低く、新店やノウハウのないお店がやるとしんどいことも…。うちの店の発信力や、常連さんへのPRでサポートできるんじゃないかと考え、各飲食店に声をかけました。チケットは、新型コロナが落ち着いたころに、それぞれの店に行くきっかけになれば、と考えて。

ーーHIDETOUさんが買い取りして、販売を請け負った形なんですね。

そうですね。僕の方ではPR、予約の対応や配送、一部お惣菜の袋詰もしました。店主の皆さんからは「販売価格はお任せします」と言っていただきましたが、お店の価値を適正な形でお届けしたい、と考えて梱包材分の一部のみを頂いています。お惣菜は合計62人の方が注文してくださって、発売開始から6日で完売しました。

ーーHIDETOUさんの稼動や発信はボランティアとのことですが、他のお店のために、どうしてそこまでできたのでしょう?

新型コロナの影響で飲食店の状況は深刻なものになるだろうな、と思って…。余計なお世話かもしれないけど、なにか力になれば、とシンプルにそれだけでした。実際にやってみると、僕にもうれしいことが沢山あって。僕一人で各飲食店に連絡して始まったことですが、一緒になって梱包を手伝ってくれたり、お互いのお店、店主の人となりを知ることができて、大変な時期にお店同士の絆が生まれました。うちのお客さんからは「この企画でおいしいお店を知ることができた」、「一品ずつ試せてうれしい」、「今度行ってみたい!」といった喜びの声がたくさん届きましたね。僕がおすすめしたい、尊敬するお店をお客様に繋ぐことができたんです。

ーー今回声をかけた飲食店とは、どんな繋がりがあるんですか?

僕の店に飲みに来てくれてから7年ほど良くしてくれている店主や、兄貴肌って感じでいつも話を聞いてくれる方、一緒に飲食を盛り上げてこう!っていう仲間です。それぞれがお店を経営していて、経験豊富だったり、僕にはない魅力を持っていて。おいしいのはもちろん、ホスピタリティや料理に対するこだわりでいつも刺激をもらっています。

ーー今回の企画に込めたメッセージを教えて下さい。

まずはお客様に自分たち飲食の現状を知ってもらいたい、という思いがあります。今の飲食業界は本当に大変です。この街に住む人たちの手で飲食店を救ってほしい。お店側は「おいしい」をお届けしますし、お客様には今、「おいしい」を買うことでお店側を助けてほしいですね。今回の企画で多くの人にご購入頂いて、あたたかいコメントをいただいて…僕が企画に込めた思いが伝わったんだという実感もあります。

自分の作った空間で、ベストな状態で飲食を楽しんでもらいたいので、テイクアウトは進んでやりたいことではありません。でも、現実的にそうも言ってられない状況です。次のアクションは、今考えているところ。自分がワクワクできて、お客さんに喜んでもらえて、飲食店にとってもプラスになることを企画・実行していきたいですね。(お惣菜の画像:HIDETOUさん提供)

HIDETOU
1985年高松市生まれ。高校卒業後、東京へ。24歳の時に飲食の世界に飛び込み、28歳で高松にUターンして独立。バル、立ち呑みを手がけた後、2016年「テキーラバーAnejo」をオープン。「世界一美食の街」と呼ばれるスペインのサンセバスティアンに魅せられ、毎年勉強を兼ねて旅行し、バルガイドの活動も。全国で仕掛けるバルイベント「旅バル」やお店で現地の味を提供している。

テキーラバー Anejo
四国初のテキーラ専門バー。約140種類ものプレミアムテキーラを常備し、様々なテキーラの楽しみ方を紹介している。テキーラ以外にもこだわり抜いたお酒、それらに合う独創的な料理が楽しめる。現在、バスクチーズケーキのテイクアウトのみの営業ですが、今回のように企画販売などの告知はFacebookで発信予定です。
香川県高松市瓦町2-1-28 2F
087-835-5171
Facebook

小林繭子

瀬戸内通信社 編集長/ライター、コピーライター:愛知県出身。12年ほど東京で暮らし、2016年に小豆島、2019年に高松へと移り住む。ライティング、IT企業営業事務、ミヤモト惣菜店広報&BARタイム担当など、気持ちの赴くままいろいろ。豊島美術館、李禹煥美術館が好き。

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