踊る、を超えて自分の全てが曲になる

ー小豆島・フラダンサー Kanakoさんー

フラダンス、と言われてイメージするのはにこにことした笑顔、「アロハ!」な陽気さ。でも、小豆島で初めてKanakoさんの踊りを見たときに、フラダンスってもっと奥深いものなんだ、とはっとした。Kanakoさんの踊りはやさしくて、きれいで、たおやかで。太陽みたいにきらきらしたり、切なかったり。いろんな感情が自分の中に湧き上がる。ずっと見ていたい、と思うフラダンサー、Kanakoさんにお話を聞きました。

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ーーフラダンスとの出会いを教えてください。

フラを始めたのは34歳の時で、子供もいました。若いときにハワイ留学をしたこともあり、ハワイとつながっていたいという思いがずっとあって。小豆島でフラの教室があるのを知って通ってみたんだけど、最初は恥ずかしくて、鏡に映る自分を見れなかったですね。半年でなんだかんだ通わなくなったけど、2年後にもう一度レッスンに行くようになって。

ーーそこから、どんな風にフラに夢中になったんですか?

再開してしばらくたった頃、岡山の発表会に出ることになって。自分が出るのに他人事みたいで、踊る曲名すら覚えてなかった(苦笑)。でも、そこで本気で練習する人たちを見て、初めて自分の「本気スイッチ」が入って。すごく刺激になりましたね。そこからレッスンに対する心構えも変わって、毎回先生が教えてくれること一つひとつが新鮮で。でもこの時はまだ、純粋に「楽しい!」っていう気持ちだけだったかな。

ーー先生になったのはどんな流れだったんですか?

自分の中でフラのウエートが増えてきた頃に、先生に誘われて岡山のレッスンにも通うようになって。インストラクターとレッスンを受けたり、いつもの小豆島とは違う雰囲気のレッスンで、たくさんのことを吸収しました。教える立場になったのは40歳の時。先生から、「小豆島の生徒さんが増えたし、教えてみる?」と声を掛けてもらって。

 ーー教え始めることでフラとの向き合い方は変わりましたか?

教え始めてからは試行錯誤の連続でした。「ハワイの人と何が違うんだろう、どう表現していけばいいんだろう」、と今まで以上に模索するようになって。ますますフラに夢中になりました。 教え始めた翌年にはハワイアン音楽のバンドも始めて、バンドの活動でも島内外、あっちこっちにいくようになって。当時はフラもバンドも、と忙しすぎて「きりきりまい」でしたね。

そんな余裕のない日々の中、離婚することになって…。その頃は身体も心も、本当にハードな日々でした。自分の身に起こることって、全て自分の選択の結果、私の人生は私が作ってきたもの。子供たちのことを考えるとすごく複雑なんだけど、「おかんの生き方が好き」って言ってくれる娘の言葉をお守りに、自分らしく生きれてるかな。好きなことがあって、大好きなフラで生活ができて、子供たちも頑張っていて…。

ーー自分の身に起きたことを引き受ける強さ、憧れます。Kanakoさんは後悔とは無縁ですか?

後悔がゼロ、なんてことはないですよ。でも、強くなったと思う。いろんなことがあったからですね。自分じゃどうしようもないこと、気にしても仕方がないこと、そういうことを手放していける強さは、年々増したかな。若いころは自分の思いをそのまま伝えられなかったり、相手のことを思うが故に素直に言えず、歪みができたり…。フラでたくさんの人と関わったり、生徒さんと自分が成長してきたことって大きいですね。人間関係のほどき方も色々な経験を重ねて、少しずつわかるようになってきたかな。

ーー教えている中でのトラブルってありましたか?

自分の教室の中では2回くらいあったかな。それぞれ良かれと思ってやったことが捻じれているだけなんですよね。トラブルって、うまく解決すると信頼関係が増して、雰囲気が良くなる。そういった生徒さんたちの絆、自分との関係性も励みになりますね。フラが大好きだけど、フラで関わる「人」も好きなんだと思います。

ーー2018年に、独立されたんですよね?

自分の中に積み上げてきた知識、技術、そういったことがまだまだ足りてない、もっと学びたいと思っている中、新しい出会いがあって。それを機にずっとお世話になっていた教室を離れました。 先生にはフラを踊る楽しさを教えてもらって、自由にやらせてもらって。心から感謝しています。

ーーどんな勉強をしているんですか?

古典フラや現代フラ、ハワイの文化について学んでます。ひょうたんから楽器 “イプヘケ” を手作りしたり。遅まきながら、今はいろんな勉強をして自分を育てています。良く動けてあと10年かな、って思うし。これも子供が手を離れた、ちょうどこのタイミングだったんだと思う。

 ーー教え続けてきた中で大切にしていることを教えてください。

言葉で細かく噛み砕いて教えるようにしてます。「この時はここがこう動いているよ」って具体的に伝えたり。教える中で難しいな、って思うのはタイミング。同じことでも、その人に合ったタイミングで伝えるようにしています。伸びたところは見つけて、みんなで喜ぶことを大切にしたり。

ーーKanakoさんが踊るときに一番大切にしていることを聞かせてください。

その曲になる、っていうことかな。一つ一つの曲に込められたそれぞれのお話、その曲がもっている世界を踊りで表現すること。そのためにも、経験を重ねることや、勉強することが大事だと思っています。本当にそれを知って踊っているのか、大事な人に大事なことを伝えたいと思っているかどうかって、きっと見てる人には伝わるんですよね。すてきな踊り手は、飾る必要もなくて、そのままですばらしい。それはその人の中にいろいろなものが「ある」からかなって。そんな表現者である為にも、もっと勉強していきたいし、生徒さんと踊る喜び、人と関わる喜び、表現する喜びを分かち合っていきたいな。 

 Kanako
1970年、香川県小豆島生まれ。フラダンス歴13年。小豆島を拠点にしたフラダンス教室「Mauli Ola(マウリ オラ)」主宰。34歳でフラダンスに出会い、40歳の時に小豆島で教え始める。現在は小豆島・高松で教えている。自身の教室を持ちながら、小豆島や県内外のイベントでパフォーマンスしている。2019年に小豆島でハワイアンバンド「kanawalu」を結成。生演奏で踊る楽しさを生徒さんとも分かち合おうと、夢をふくらませているところ。

フラダンス教室「Mauli Ola」
クラスは月1~月4回とさまざま。子どもから80歳の方まで、それぞれのカラーを楽しみながらレッスンしています。時間帯や雰囲気など、ご自身にあったクラスを相談しながら決めていきます。見学・体験レッスンは随時受け付けています。お気軽にお問い合わせください。

〇小豆島クラス
木曜19:30-21:00(月4回)、火曜19:30-21:00(月2回)、金曜13:00-15:00(月2回)他
〇小豆島ビギナークラス
水曜10:00-12:00(月2回)
○高松クラス
10:00-12:00(月2回) 日程は生徒さんと相談しながら決めています。
お問い合わせ先:kanaloha18@gmail.com


小林繭子

瀬戸内通信社 編集長/ライター、コピーライター:愛知県出身。12年ほど東京で暮らし、2016年に小豆島、2019年に高松へと移り住む。ライティング、IT企業営業事務、ミヤモト惣菜店広報&BARタイム担当など、気持ちの赴くままいろいろ。豊島美術館、李禹煥美術館が好き。

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