気持ちいいよ、domaine tetta

去年の話。岡山県出身の友人カナエナカさんと「岡山のワイナリー、domaine tetta(ドメーヌ・テッタ)行ってみたいね」という話に。「行こう!」とノリで話したら、即実現しました。

domaine tettaのぶどう畑は、岡山県北西部、新見市哲多町にあります。『晴れの国・岡山』と言われる通り、長い日照時間と寒暖差、そして美しい自然の山々に囲まれた石灰質の土壌。標高400メートルの小高い山の頂上に広がる集約したぶどう畑は、まるでヨーロッパのぶどう畑のように爽快な景観。この地の可能性を最大限引き出せるぶどう栽培にチャレンジしています。

http://tetta.jp

11月の肌寒い日。domaine tettaへ一緒に行ったのはカナエさん、高松で知り合ったデザイナーの古本ちゃん、京都の料理家庄本彩美さん、岡山児島で「泊まれるデニム屋」floatを運営しているEVERY DENIMの島田さん、私、の5人。庄本さんと島田さんとは初対面。岡山駅からdomaine tettaまでは車で1.5時間ほど。5人乗りの車にぴっちり5人。ゆるゆるとおしゃべりしながら、時に誰かは車の中で仕事をこなしながら、運転はすっかり任せっきりで、「ワイナリーにいくとか私大人…!」と言うかわいすぎる10歳下の古本ちゃんにきゅんとしながらあっという間でした。

早速予約していた併設のレストランへ。ガラス張りで、眼下に広がるぶどう畑、奥の山々を眺めながら食事が楽しめます。ドライバーのカナエさんはフレッシュのぶどうを使ったノンアルコールソーダ。みんなはスパークリングワイン、私は白ワインからスタート。すっきりとしてお料理に寄りそう優しいワイン!平日は簡単なプレート3種のみ、と聞いていたけれど、スープやサラダ、コーヒーもついていて大満足。グラスで好みのワインを楽しめるのもうれしい。みんなであれこれのんで、これが好き、これも飲んでみて、ってわいわいできるのも楽しい。

ワイナリーの建築デザインはWonderwall®の片山正通氏。外から見るとシンプルなレストランのみの1階建てに見えますが、地下で醸造を行っていて、ガラス張りのレストランからは、その様子を覗き見ることができます。屋上にも上がることができる。多目的スペースになっていて、時々イベントを開催するそう。

屋上の多目的スペース

11月は収穫も終わった時期。ぶどうがたわわに実った畑は見れませんが、平日の静かなワイナリーで冬の始まりのすこしきりっとした空気感とあたたかい日差し、紅く色づきはじめたもこもこの山々が私たちを迎えてくれました。鈍っていた五感や全身がふるふると細胞活性し、私という感性が蘇ってくる。

“岡山のおしゃれなワイナリーdomaine tetta”、うっかりそんな印象を持ってしまうけど、ワインを造る、そのためのぶどうを作る、その為の土壌をつくる…。2010年に耕作放棄地の再生を始め、ワインの醸造は2016年から、最初のワインのリリースは2017年。こうして今私の飲んでいるワインがどんな人の思いや力でここまで来たものなのか、いつも以上に思いを巡らせてしまう。どんなものにでもいえることなのに、時々忘れ、当たり前のようにいろんなものを享受している自分。

デザートは外でいただきました。11月だけど、太陽があたたかい。

それぞれ個人の活動や仕事を持つ、たおやかで軸があるすてきなメンバーとの時間はとても楽しい時間だった。私自身は13年会社員としてやってきたけど、ここ数カ月は7割会社員をしながら興味の赴くまま色々と。フリーランスといえば聞こえはいいが、ある意味フリーターのような生活と、時間に融通が利く分、オンとオフが曖昧な日々。ここに来る前日、久々に一日完全オフ!と大手を振って直島のお気に入りの美術館に寄ったのに、「あれ、前はここにきて何に感動したんだっけ。どこにびっくりしたんだっけ。思い出せない…」と仕事の通知が鳴るスマホを握りながら、そんな自分に苛立っていた。

オンとオフの境界があいまいなのは良いことも悪いこともある。リフレッシュしようとオフにしたのに、うまく切り替えられない。連絡が来たら見てしまう。見たら返さなくちゃと思ってしまう。この日、五感が鈍ったまま直島から宇野へ移動してカナエさんと合流し、山の上のカフェbelkへ行き、宇野の居酒屋で店主さんの話を聞きながら飲んで。素敵な宿にカナエさんと泊まり、みんなと出会ってここへきて、思いの詰まったワインを飲んであれこれ話す。苛立っていた気持ちが、ゆるやかに癒されていく。

大変な時もあるけど、今の生活にしてよかった。今は自分一人ではそう思えない。自分の決めたことを正解にするのは自分でしかないと思っていたけれど、これからもたくさんの人の力を借りることになるだろう。誰かに助けられて自分がいることに、ここにきてようやく気づかされた。そこに至るにはゆっくりとした時間、なかなかの移動距離、いろんな人との時間、会話、豊かな自然、おいしいワイン…日常から少し離れるだけで、自分の視点がぐっと変わる。同じ瀬戸内に、まだまだ自分の知らない魅力があるのだろう。もっとそれを見つけたい。

無理しても時々どこかへ自分を連れて出して、誰かに会いに行くことの大切さ。今、簡単にはお出かけできないからこそ、実感している。もうすこし自由に出歩けるようになったら、どこに行きたい?私の「行きたいリスト」は増えていく。

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domaine tetta
岡山県にあるワイナリー。自社原料100%でワインを製造する。ワイナリーではレストランを併設し、ワイン販売も行っている。現在、レストランはテイクアウトのみの営業となっています。最新情報はFacebookをご確認ください。
岡山県新見市哲多町矢戸3136 現時点でのアクセスは車のみです。
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小林繭子

瀬戸内通信社 編集長/ライター、コピーライター:愛知県出身。12年ほど東京で暮らし、2016年に小豆島、2019年に高松へと移り住む。ライティング、IT企業営業事務、ミヤモト惣菜店広報&BARタイム担当など、気持ちの赴くままいろいろ。豊島美術館、李禹煥美術館が好き。

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