ことでんで行く、スパイスカレー:2.栞や/琴電琴平駅

ことでんで行くスパイスカレー、2軒目はこんぴらさんの表参道から一本入った場所にある「栞や(しおりや)」。オリジナルの栞や古本の販売、ギャラリー、スパイスカレーを味わえるカフェ、とさまざまな魅力が詰まっている。まずは、さなえさんにお店のはじまりからお聞きしました。(1. 朔日/瓦町駅3.カリー屋MARU/栗林公園駅4.Kinco.hostel+cafe/花園駅

お店を切り盛りする銀三郎さん・さなえさんご夫婦

「このお店は、まず『栞や』という名前を決めたところから始まりました。山の麓だから、『木』のついた漢字を探した時に『栞』を見つけて。栞には『道しるべ』という意味もあって、旅人と日常が交わる場所にしたかったので、ぴったり。しかも、『木』の上の形が鳥居のマークみたいなんですよ」

お店の名前だけが決まった時に出会ったのが、店内に飾られたこちらの絵。

「いつか見た光が向かう方へ」(幸山将大)

「絵を見て心が動いたのが初めてだったんです。タイトルも、この絵に込められた『自分の感性を信じて一人で立つ』というメッセージも素敵で。この絵を見たときの感動を他の人にも伝えたい、と考えたときに『うちは栞やだ!』と気付いて、絵の一部を使って栞をつくり始めました」

次に決まったのは、オリジナルのスパイスカレーを提供すること。祖父の持っていた空き家であるこの場所を活かそうと考えたときに、非日常を味わえる場所でありながらくつろげる、かつて働いていた山小屋が浮かんだ。

「山小屋では、寝食を共にした登山客が元気を取り戻して、また山に戻るんです。来た人の非日常と自分たちの日常が交差するのが面白くて」

山小屋といえば、カレー。こんぴらさんに登る人の身体の負担にならないよう肉を使わず、さらっとしながら印象に残るように…と行きついたのは、スパイスで存在感を出した「野菜カレー」。広がるスパイスの香りの中に、どこか親しみやすい、やさしい味わい。秘密は、馴染みのある素材でした。

「カレーには干し椎茸の出汁、ムング豆(インド原産の豆)のスープには昆布出汁を使用しています。それぞれの出汁のおかげか、『ご飯とみそ汁みたいに、毎日食べたくなる』という声もありますね。ムング豆のスープは、カレーにかけるとあいがけになるんですが、実はお客さんに言われて気が付いて(笑)。奇跡的に良いバランスになりました」

野菜カレーにお肉などのトッピング、スープが付いた「山の三日月カレー」

しっかり食べたい人向けに、琴平のにんにくや伊吹島のいりこ、香川本鷹などの旨みを詰め込んだ「ミニ骨付鳥」や、カレーの名脇役「卵のピクルス」のトッピングもできる。二つをトッピングしてムング豆のスープがセットになった「山の三日月カレー」はボリュームたっぷり。

「その時々のおいしい旬の野菜を使ったり、季節と旅をテーマにした絵から栞をつくったりと、自然に季節を感じてもらえる場所になりつつあります」

季節と旅をテーマにした絵から、栞を製作

オリジナルドリンクを注文すると、絵とセットで提供してくれるうれしいサプライズが。ドリンクメニューを考案するのは、銀三郎さん。

「栞やにある絵を見て何かを感じたり、内省する時間大切にしてもらえたら…と、幸山さんの絵から着想を得たドリンクできっかけを作ってみました。ドリンクと絵をセットで提供したら、自然と絵に向き合える。ここに来たからできる体験になればうれしいです」

「白桃ビネガーと苺のシャーベット」と「巡る色」(幸山将大)

桜をテーマにした絵「巡る色」の世界観をドリンクの味や色合いで表現。絵と共に味わうことで、より絵の中に入り込んでいける。さわやかな甘酸っぱさに加え、ピンクのシャーベットが溶けていく様はまるで桜が舞っているよう。桜の味はしないのに、自分の中にある桜のイメージが喚起されるから不思議。

絵から栞を作成し、栞と原画を楽しめるギャラリーに。オリジナルのスパイスカレーやドリンクを提供するカフェになり、旅をテーマにした古本が置かれ、本とめぐりあえる「旅する栞や文庫」がスタート。このお店の魅力はごく自然な流れでつぎ足されてきた。

お土産屋さんがひしめき、沢山の人が行き交うにぎやかな参道から一本入ると、すっと時間の流れがゆるやかになる。鳥の声が聴こえ、山の気配を感じる栞やの中で過ごす時間は、絵や栞、本との出会いの中で自分自身を旅するよう。スパイスカレーを求めてここに来たら、思いがけない時間を過ごすことが出来ました。

栞や
こんぴらさんの麓、静かな裏参道にあるカフェギャラリー。「人生という ”ひとり旅” を彩る場所」をテーマに、カフェ、オリジナル栞の販売や原画の展示、旅にまつわる本と出会えるしかけなどが詰まっています。カフェでは季節野菜の旨みをスパイスで引き出したスパイスカレー、オリジナルドリンクなどをご用意。古本は瀬戸内で活躍する三松文庫が選書、本に合わせた栞の提案も。こんぴらさんを散策しながら食べられる、カップに入った「参拝カリー」もおすすめです。YouTubeで栞をお届けする様子や、お店のDIYについて配信しています。※お店には看板猫のチャイ子がいます
香川県仲多度郡琴平町1063-2(琴電琴平駅・JR琴平駅から徒歩15分)
・070-2358-7907
・営業日はこちらでご確認ください。
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〇店主おすすめ、近くの場所:松尾寺

「住職さんが親しみやすくて、すてきな方です。タイミングが合えば本堂も案内してくれますよ。新年や節分などの節目のイベントでもお世話になっています。松尾寺さんや琴平公園など、裏参道のすてきな場所をつないで、表参道と合わせてこんぴらさんを楽しんでもらえたら」(銀三郎さん・さなえさん)
香川県仲多度郡琴平町川西973(栞やから徒歩8分)

●ことでんで行く、スパイスカレー
1. 朔日/瓦町駅
2.栞や/琴電琴平駅
3.カリー屋MARU/栗林公園駅
4.Kinco.hostel+cafe/花園駅

小林繭子

瀬戸内通信社 編集長/ライター、コピーライター:愛知県出身。12年ほど東京で暮らし、2016年に小豆島、2019年に高松へと移り住む。ライティング、IT企業営業事務、ミヤモト惣菜店広報&BARタイム担当など、気持ちの赴くままいろいろ。豊島美術館、李禹煥美術館が好き。

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